ランニングイップス

イップス

2021年の日本陸上競技選手権大会の100Mの決勝は見ごたえのあるレースでしたね

テレビの前で釘付けになった方も多かったとおもいます

今年は東京オリンピックイヤーで代表選手の選考も気になります

代表選手も様々なスポーツ障害で悩んでいます

身体的な障害、メンタル的な障害・・

今回もスポーツ障害の一つのイップスについて症例報告します

 

スポーツ選手のイップスは様々な種類があります

野球の投球イップス

ピッチャーの暴投、キャッチャーまでとどかない、インコースが投げられない、キャッチャーがピッチャーに返球できない、ショートがファーストまで送球がとどかない・・・

ゴルフイップス

短い距離のパターが打てない、バンカーから打てない、登りのパターが打てない、ドライバーが打てない、最終ホールのパットが打てない・・・

サッカーイップス

コーナーキックが蹴れない、ペナルティーキックが蹴れない、スローイングが投げられない・・

テニスイップス

サーブが打てない、ボレーができない、スマッシュができない・・・

 

様々なイップスがありますが、今回紹介するイップスは陸上の長距離選手が走れなくなるイップスを紹介します

 

中学で長距離をしていたAさん。Aさんは中学で長距離で活躍して将来も活躍できる選手です。高校駅伝で活躍したくて、駅伝で有名な高校の陸上部に入部して数か月がしてから、練習中に走り出したら体全体が重くなり、手足が思うように動かず走れなくなりました。

 

長距離の選手が良くある症状に貧血があります

専門医で血液検査をしても「異常なし」の検査結果です

慣れない高校の陸上部での練習で疲労が蓄積して体がいうことが利かなくなったのだろうと思い暫く別メニューで様子を見ていました。

 

しばらく様子を見ても改善せず困っていましたが、ネットで調べて来院しました

 

当院の機能的な検査では神経系の機能異常が陽性であり、神経系の興奮系と抑制系のアンバランスが見つかり、主動筋と拮抗筋の同時収縮を起こす「共縮」という相反神経関節機能障害が顕著にみられました

 

「共縮」とは無意識の反射神経で意識ではコントロールできない神経で、この反射神経が正常に機能しないと関節運動も正常に動きません。

 

身体運動は意識系と無意識系の統合によって筋肉への正常な出力によって筋肉の収縮が行われます。

しかし、意識の働きが強すぎると無意識の神経が混乱して主動筋と拮抗筋の同時収縮が起きてしまい正常な関節運動ができず正常な動きができなくなります。

 

ここで問題なのは意識が働きすぎて脳が学習記憶してし「脳の誤作動」のスイッチを形成してしまうことです。脳は学習記憶が定着すると無意識に落とし込まれて「脳の誤作動(クセ)」が生じてしまいます。

 

身体運動は情報の入力と出力がバランス良くできて動きます。脳は論理的に考える(人間脳)と瞬間に働く感覚的な脳(動物脳)がバランスをとっています

 

冷静な脳は人間脳でブレーキの働きをします。動物脳は感覚的(反射)な瞬間的に何も考えずアクセルのように加速します

 

イップスは人間脳が働きすぎてブレーキをかけ過ぎている状態で、動物脳をお休みさせている状態です。この状態のときは共縮現象が起きて関節運動が機能しなくなっています

 

さて、この選手の人間脳が働きすぎている原因は、中学時代の陸上の指導者は優しく丁寧な指導でAさんの能力を十分発揮させる指導法です。

 

一方で、高校の指導者は自主練や走り方など細かな指導はせず「自ら考えて練習する」指導方針です。

 

中学の時の指導者と高校の指導者の指導方針が違っていて、だいぶ迷ったようです。更に高校は県内各地の有望な選手が集まってきています。その選手たちとの身体能力の高さにギャップを意識しすぎていたようです。

 

 

 

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